ずいぶん前にインターネットのニュースで「スーパーマーケットの裏手のゴミ箱に捨てられている賞味期限切れの食品を拾ってホームレスへ提供している団体がある」という記事を目にしたことがあります。
確かアメリカでのお話だったかと記憶しておりますが、詳細は失念。
その前後いずれかもよく覚えていなくて恐縮なのですが、2014年初句にアメリカのボストン市内に消費期限切れの食品を販売するスーパーマーケットをオープンすると発表した人がいました。
その方こそ同国の某グルメスーパーマーケットの元社長D.R氏。
ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、ここではあえてお名前をイニシャルでしか記しません。
この発想は新たなビジネスモデルとしてだけではなく、同国が抱えている深刻な「食品廃棄物問題」が背景にありました。
2012年のUSDA(アメリカ合衆国農務省)によると、約4,900万人のアメリカ人が貧困により飢餓状態となる食料不足状態に陥っていました。
貧困地域では食べ物が買えない「フード・デザート」という食料砂漠状態になっており、6人に1人の割合で必要な栄養を取ることができていなかったのだそうです。
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ところがその一方で、アメリカでは年間で1,650億ドルにも及ぶ食品が捨てられている現実がありました。
その数字は年に40%の食料が破棄されているということになっていたのです。
ちなみにわが国日本は、農林水産省の資料によると約10%となっていました。
貧困層の飢餓と食品廃棄はアメリカの社会問題となっていて、この問題を一石二鳥で解決する糸口になるかもしれないということで、全米から注目が集まった大きなニュースが件のスーパーマーケットの話題でした。
しかし、オープン予定していた時期にそのスーパーマーケットはスムーズに事が運ばなくなりました。
それは「お客に腐りかけた食品を売るのか!」といった批判があったからです。
アメリカでは「消費・賞味期限」の表示規制は州ごとに行われており、統一基準がありませんでした。
USED BY
BEST BEFORE
SELL BY
このように様々な表記であるため、消費者を混乱させていることも原因で、食べられる食品を「期限の認識違い」「消費・賞味期限の不案内」といったことで、廃棄した経験がある人がたくさんいたというレポートもありました。
同スーパーマーケットの開店には前出の批判の他にも問題を抱えていましたが、そのことについては専門家を招いてガイドラインを開発、結論から申しますと、「期限切れ」の食品は扱わず「期限切れ直前」にポリシーを変更したことで、「この画期的なスーパーマーケットをつくる」と発表した時期から約1年(だったかと記憶しておりますが、誤っていたらお詫び申し上げます。)の時間を要し、ようやく開店にこぎつけたのでした。
つづく
てすと